花発多風雨 人生足別離
ここ何ヶ月か、ずっと気が重たかったです。
その日がやってきました。
お客さんにも説明しなきゃと何度も書こうと思いつつ、
どうも気が乗らず、結局今日になりました。
パセミヤで使用している、焼きそばの麺を作ってくださっていた
製麺所が今月をもって辞められます。
代わりの製麺所を紹介していただきましたが、
いままでの麺ではなくなります。
太麺、細麺の区別もありません。
思い入れもありますし、書いておきたいこともありますが、
どうもきちんと書けそうにありません。
どうかこの想いを汲んでいただけたらと思います。
しばらくのあいだ塞いだ顔になっていると思いますが、
気にしないでください。
正直、悔しさであったり、寂しさであったりいろんな想いが交錯しますが、
最後の4年間一緒に商売出来たこと、パセミヤで使わせてもらえたことを喜びたいと思います。
最初は、僕が取りに行ってましたし、その頃はおやっさんも存命で、そばを包んでもらっている間に、あれこれと話をして、本当にいろんなことを教わりました。ひとつの時代をまじめに生きてこられた方の言葉はとても含蓄があって重く、これからしっかりと受け止めていきたいと思います。
しっかりと商売をしてこられた方は、引き際も心得てて、辞め方も綺麗です。
おやっさんが亡くなったとき、いつかこういう日がくるんだろうなぁと覚悟していましたが、いざその日がやってくると、なんともいいようがなく、いままであったいろんなことが思い出されます。
時代の移り変わりもあり、うちみたいな形態の商売も取り残されようとしていますが、まだ出来ることはあると信じてあがいてみたいと思います。
最後の悪あがきのつもりで。
生きているといろんな別れの場面に出会います。
そんなとき、晩唐の詩人于武陵の「勧酒」を思い浮かべます。
井伏鱒二さんの、「「サヨナラ」ダケガ 人生ダ」の訳も味わい深いですが、原詩の方が好きです。
勧君金屈巵 君に勧む 金屈巵(きんくつし)
満酌不須辞 満酌(まんしゃく) 辞するを須(もち)いず
花発多風雨 花発(ひら)いて風雨多く
人生足別離 人生 別離足る
ほんとうに、たくさんの別れを経験します。
酌になみなみと注がれたのは、
今にもこぼれ落ちてしまいそうな想いと涙なのかもしれません。
身近なところにある良心的な店が
ひっそりとのれんをたたんでいってることを
忘れないでほしいと思います。

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